議会通信 Vol.52 2012年 秋号

2014-05-20

9月議会・決算特別委員会の概要

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9月定例議会(9月7日~9月20日)では、一般会計42億2千万円の補正予算が可決されました。このうち34億円は、今年度当初で過去最多の893人となった「待機児童」の解消に向け、700人分の保育所追加整備に充てられるものです。また大規模改修工事が進んでいる警固公園に、現在の天神交番(西鉄ソラリア下)を移動する方針についても関連する補正予算が計上されました。

決算特別委員会(10月5日~10月23日)では、平成23年度の福岡市の予算が適正に執行されたかを中心に、市の施策全般を検証しました。新聞等で報道されている通り、福岡市は平成25年度からの4年間でおよそ851億円の財源不足を見込んでいます。

私たち民主・市民クラブは、市民の生活を支える貴重な財源がより適正に、より一層効果的に活用されるように、チェック機能を果たしていく決意です。

国際リニアコライダー誘致に全力を

[9月10日] 一般質問

栃木 義博 (早良区)

①国際リニアコライダー(ILC、線形加速器)の誘致構想 ②津波災害対策とライフラインの復旧 ③認知症患者・家族への地域支援体制の強化について質問しました。

質問ではまず、ILC誘致に福岡市が積極的に取り組むことを求め、市長は「本市の暮らしやすさや知の集積をアピールして、誘致活動を展開したい」と答弁しました。次に、対馬海峡東の断層で発生する地震により最大2メートルの津波が想定されることから実効ある対策を求めました。当局は「浸水想定区域の形成や建物の現況、河川の現況などさらに詳しく検証する」と応じました。また、認知症患者・家族の支援強化を求める質問では、「地域包括支援センター職員の増員や相談・支援体制の更なる充実に努める」との答弁を得ました。

「不育症」に悩む夫婦への支援を

[9月11日] 一般質問

調 崇史 (城南区)

①不育症の認知拡大と公費助成について、②道路陥没の防止について質問しました。

不育症とは2回以上の流産を繰り返し、なかなか出産に至らない症例を指し、我が国における年間の発症数は数万件にのぼります。原因に不明な点が多く、ほとんどの治療が国が定める健康保険の適用対象外であることから、悩みを抱える夫婦にとって多額の治療費が負担になるケースが増えています。

質問では少子化対策等の大局的な観点から公費助成制度の創設を求めるとともに、不育症そのものの認知拡大や相談体制の強化等を求めました。また道路陥没については、高齢者が転倒して怪我をするケース等を防止するために、生活道路の安全点検を強化するよう求め、前向きな答弁を得ました。

東区役所の混雑解消に向けて

[9月11日] 一般質問

阿部 正剛 (東区)

①児童養護施設について ②公契約条例について ③東区役所の利便性の向上について質問しました。

このうち東区役所の質問では、3~4月の繁忙期において、証明書窓口で最大2時間の待ちが生じることや、駐車場の慢性的な混雑など様々な問題があることを明らかにした上で、開設以来40年で区の人口が倍増し、現在の人口重心が香椎・千早地区に移ったことなどの要因を指摘。将来的な区役所の移転も含めた抜本的な改善を求めました。

当局は「平成28年度を目途に整備する香椎副都心公共施設に証明サービスコーナーを設ける」とした上で、「幅広い検討を行う」と答弁しました。

「健康寿命」を市政の数値目標に

[10月9日] 総会質疑

江藤 博美 (西区)

①健康づくり事業の促進について ②住民自治支援基本条例化への取り組みについて ③市長の公約と実績について質問を行いました。

このうち、健康づくりについては、ウォーキング・ランニングなどのスポーツに親しむ市民の増加傾向を医療費削減までつなげていくために、健康づくりによる医療費削減効果の検証や、健康寿命の数値目標化を提案しました。

また、市長の公約と実績では、こども病院や屋台問題などで第3者委員会を相次いで設けたことなどについて、なぜ市長が主体性を持って決断しないのかを質しました。特に、中国研修生の受け入れ事業について、国家間による一過性の緊張で見送った市長判断を、「もっと腰を据えて迷わず事業の実行を計るべきだった」と厳しく指摘しました。

「恋活」「婚活」に行政の支援を

[10月10日] 総会質疑

田中 しんすけ (中央区)

①いわゆる「恋活」「婚活」に対する福岡市の支援の在り方について ②福岡におけるクリエイティブ産業の振興について質問を行いました。

「恋活」「婚活」については、福岡市の未婚率が政令市中で最も高く、その原因の1つに「結婚適齢期の女性が本市に職を求めて流入する一方で、同世代の男性は流出超過である」という独特の人口動態があることを指摘。「恋活」「婚活」に関する志向調査や積極支援を求め、前向きな答弁を得ました。

また、若い男性の流出を止める視点からも、ゲーム・ファッション・デザインなどのクリエイティブ産業の振興に取り組むよう求めました。

老人ホームの水道料金を安く

[10月11日] 総会質疑

田中 丈太郎 (博多区)

①有料老人ホーム等の水道料金について ②福岡市自転車の安全利用に関する条例について質問しました。

有料老人ホーム等の水道料金については、入居者が各自の部屋で使用する水道の契約が一般家庭の「家事用」に比べて割高な「事業用」となっているケースが多く、入居者の負担が大きくなっている現状を指摘。負担の軽減のため、各入居者の水道料金が割安となる「個別換算」の制度適用を認めるよう強く要望しました。当局は個別換算を適用するためには風呂、トイレ、台所のいわゆる3点セットが揃うことが条件であるという従来の説明に終始しました。また、自転車の安全利用については、12月議会に上程される条例案が実効性のあるものとなるよう求めました。

新規参入しやすい入札制度に

[10月22日] 総会質疑

三原 修 (南区)

①福岡市の税収について ②総合評価方式について ③財政リニューアルプランについて ④紙オムツのリサイクルについて ⑤情報システムについて質問しました。

このうち総合評価方式については、公共工事の入札の際に過去に同様の工事を受注した経験があるか否かによって評価に大きな差がつくケースがあることから、地場業者の新規参入の妨げになりかねない点を指摘して、制度の改善を求めました。

また、財政リニューアルプランについては、現在進められている見直し作業で財源不足の解消のために81の事務事業の改廃等が検討されていることに対し、「市民の痛みを伴うものが多くある」と指摘するなど、乱暴な議論とならないよう当局を牽制しました。

ローカルマニフェストの進捗状況を市民の皆さまに報告!

「(第1回)議会活動報告会」を開催しました!!

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昨年の福岡市議選において、「市民と一緒に地域の将来を議論し、政策のかたちで提案し、さらに市民に対する説明責任をしっかり果たすことのできる『働く議会』を実現する」と固くお約束した民主・市民クラブ。去る7月26日、私たちはそのような理念に基づき、これまでの会派による様々な取り組みをお伝えするために「第1回議会活動報告会」を開催しました。

会場には160名を超える市民の方々が参加。とりわけ質疑応答ではローカルマニフェストの進捗に関して活発なご意見・ご要望をお寄せいただきました。

1.平成23年度・議会活動報告

福岡市議会の役割や審議の仕組みを含めて、この1年間の市議会における民主・市民クラブの活動概要を報告しました。

議会改革に対する取り組みやローカルマニフェストに基づく政策提言型の審議手法を導入したことはもちろん、東日本大震災を受けての統一行動やNPO団体との意見交換などの活動についてお伝えしました。

2.平成24年度・福岡市の予算概要

福岡市の予算(一般会計7,662憶円)の歳入と歳出の特徴や、これまでの福岡市の債務状況をはじめ、本市の「待機児童」減少に向けた取り組み、増加を続ける「生活保護」予算への対応、地下鉄七隈線の延伸など、市民のみなさんにとって関心の高い政策について解説しました。

3.ローカルマニフェストの進捗状況

地域主権戦略、生活保障戦略、成長戦略という3分野で合計49施策の実現を目指していますが、この日はこれまでの進捗状況に対する内部評価を報告。

この1年間で、ローカルマニフェスト全体の約33%(16項目)に関して、会派の意向に沿った形で政策実現が進んでいます。