議会通信 Vol.55 2013年 夏号

2014-05-20


今議会で成立した「基本条例」の内容には、今後議論すべき課題も残りました。

TOPICS

6月議会の概要 ~重要条例案の審議が行われました~

屋台問題や市職員給与などが可決・成立

福岡市議会6月定例会(6月20日~6月28日)では、これまで様々な議論を呼んできた条例案が上程されました。

高島市長が有識者会議を設けるなど肝いりで取り組んできた屋台問題に関する結論である「福岡市屋台基本条例案」と、これに伴って道路や公園の使用料を改定する諸条例案。市職員の給与を7.8パーセント引き下げる「福岡市職員の給与の特例に関する条例案」。これまでの児童福祉審議会を他の会議体と統合し新設される「福岡市こども・子育て審議会」に関する条例案などがあります。特に屋台と市職員給与に関する条例では後述する通り様々な問題があり、常任委員会での審議が紛糾する場面もありましたが、いずれの条例案も賛成多数で可決・成立しました。

なお、6月議会に提出された補正予算案は失業者を雇用した企業に対する助成などを内容とした企業支援型就労体験事業の経費が主で、1億3千万円でした。

6月議会で審議された主な条例案

  • 福岡市屋台基本条例案
  • 福岡市公園条例の一部を改正する条例案
  • 福岡市道路占用料徴収条例の一部を改正する条例案
  • 福岡市職員の給与の特例に関する条例案
  • 福岡市立学校職員の給与の特例に関する条例案
  • 福岡市動物の愛護及び管理に関する条例の一部を改正する条例案

など11件       

福岡市屋台基本条例の論点

  • この条例は福岡市内の屋台を観光資源として存続させるために、屋台営業者が守るべきルール等を示すもので、原則一代限りとされていた従来の継承ルールの曖昧な部分を整理し、廃業した屋台の後継者を公募することなどが盛り込まれています。
  • 一方で、屋台周辺に市の費用でトイレや下水設備を整備することなどが規定されるなど、店舗型の飲食店経営者や市民の納得が必ずしも得られない内容があります。今後の推移を注意深く見守る必要があります。

市職員(及び市立学校職員)給与の特例に関する条例の論点

  • この条例は、市職員の給与を今年7月から今年度末まで総額27億円削減する内容で、一般職員、消防職員、教職員、地下鉄や水道等の職員など約9,500名が対象となります。
  • 背景には国が平成25年度の地方交付税の算定にあたり、地方自治体が国家公務員と同様の給与削減を実施することを前提に交付額を一律カットしたことがあります。これは地方自治の本旨、地方自治体の自主性や独立性を脅かす手法であり、民主・市民クラブは市長に国への抗議を強く求めました。

曖昧な屋台基本条例を質す

議案質疑[6月20日] 田中 しんすけ (中央区)

tanaka_shinsuke01.JPG① 補正予算案 ② 福岡市屋台基本条例 ③ 福岡市職員の給与の特例に関する条例の3項目について、議案に関する詳細な説明を求めました。

このうち屋台基本条例では、市が負担する下水やトイレの設置費用などの財政負担がどの程度になるのか、屋台営業者に求める「応分の負担」がどの程度なのかなどの論点について質しましたが、当局は「市の負担は現状では分からない」「今後具体的に検討する」などの答弁に終始しました。

また、条例の所管が道路や公園に関する指導権限を持たない経済観光文化局であることに疑問を呈しました。

職員給与に関しては、国の交付税削減の一方的な決定に抗議するよう求めるとともに、来年度には削減分が元に戻るように国へ要請することを求めました。

市立幼稚園の廃園後は認定こども園の整備を

一般質問[6月21日]

江藤 博美 (西区)

① 市民参加フルマラソン開催に向けて ② 市立幼稚園の廃園 ③ これからの公園管理④市役所の局・部・課名の変更の4項目について質問を行いました。

フルマラソンについては、来年秋以降の開催を目指すにあたって、歩くこと、走ることを通じて市民が日常的に「健康づくり」に取り組んで行くような事業展開を求め、当局は「初心者向けのジョギング教室やランニング講演会の開催など、大会に向けて機運を盛り上げる内容のイベントを企画したい」などと応じました。市立幼稚園については、市が今後廃園を進めるにあたっては、いわゆる「小1ギャップ」に対応するための保・幼小連携を図る公の責任を果たすためにも、一部を認定こども園として残すなどの検討をするよう求め、当局も「地域におけるその需要等考慮していく」と応じました。

災害時の医薬品確保を市の責任で

一般質問[6月24日]

田中 丈太郎 (博多区)

① 福岡マラソンに向けたプレイベント開催 ② 災害時における医薬品供給体制 ③ 幼老複合施設の3点について質問を行いました。

災害時の医薬品供給体制の質問は、地震等の災害時に市民の治療に用いる医薬品を市が確保できる体制づくりを求める趣旨でした。当局は福岡県が卸売業協会と協定を結んでいるため市独自の取り組みの必要性には否定的な見解を示しましたが、質問では横浜市が2万品目の医薬品を扱う物流拠点と協定を結んでいたことから東日本大震災に十分対処できたことを紹介し、福岡市が独自に医薬品卸会社と協定を締結する必要性を訴えました。

幼老複合施設については、役所の縦割りの弊害を廃して積極的に整備するよう求め、前向きな答弁を得ました。

中央保育園の移転計画の再考を

一般質問[6月25日]

田中 しんすけ (中央区)

中央保育園の移転問題について質問を行いました。質問は今回の移転予定地の選定に至るまでの経過を明らかにし、議会への説明や情報提供が十分だったのかを検証することを主な目的としました。

質疑の中で、他に6箇所の候補地があったものの土地の価格の調査や地権者へのヒアリング等を一切行わずに現予定地に絞ったこと、こうした経過が議会には一切報告されなかったことが明らかになりました。その上で、事業の進め方に問題があったことに猛省を促すとともに、外部の有識者から意見を聞くなど移転先の検証を市長に求めました。

また、市長が計画の見直しを求める保護者たちの面会要請を断り続けていることに触れ、「政治姿勢に大いに問題がある」と厳しく指弾しました。

yoteichi.jpg6月13日の西日本新聞朝刊に、中央保育園の移転予定地を巡る問題が大きな見出しで掲載されました。記事の主な内容は、中央保育園の移転予定地が、大型パチンコ店に隣接している他、ラブホテル7件が密集するエリアの一角であることなどを風営法の趣旨から疑問視するものでした。

風営法では保育園から50メートル以内でパチンコ店の営業を禁じている他、ラブホテルや性風俗関係の営業は200メートル以内では禁止しています。記事ではこうした地域での保育園整備を禁止する趣旨ではないという市の詭弁が紹介されましたが、問題だと言わざるを得ません。

また、保育士や保護者は万が一の避難経路が確保できない点にも大きな不安を感じていることが記事で紹介され、市民からは大きな反響がありました。

民主・市民クラブでは、「ローカルマニフェスト」の実現に向けてどのように活動しているのかなどを市民の皆さまにお知らせする機会として、議会活動報告会を企画しました。

報告会ではローカルマニフェストの進捗状況のほか、今年度予算に会派要望がどのように生かされているのかなどについて、所属議員からご説明させて頂きます。

また、今後の会派の活動や市政運営へのご意見等についても、質疑応答を予定しております。ご家族、ご近所でお誘いあわせの上、是非ともご参加下さい!