議会通信 Vol.56 2013年 秋号

2014-05-20

9月議会・決算特別委員会の概要9月議会・決算特別委員会の概要

議員報酬の10パーセント削減・空き家条例など全会一致で可決

今年度の9月定例会(9月13日~9月25日)では、来年3月までの期限付きで職員の給与が平均7.8パーセント削減されていることに合わせて、10月から議員報酬を10パーセント削減する条例案が議員提案で提出され、全会一致で可決されました。また、同じく議員提案となった「空き家の倒壊等による被害の防止に関する条例」(福岡市空き家条例)も全会一致で可決されました。この空き家条例は、老朽化した家屋が災害などで倒壊することを防ぐため、所有者による管理責任を求める一方、市には被害防止策を取るように求めています。空き家対策は関係局が複数にまたがるため当局の対応が後手に回る恐れがありましたが、超党派の有志議員が当局との折衝を重ねて条例案をまとめました。当会派からは三原修議員(南区)が参加し、会派間の意見調整などに尽力しました。

疑問あり!福岡市の保育行政

一般質問[9月17日]

調 崇史 (城南区)

①平成26年度当初の待機児童ゼロ②中央保育園の移転問題について質問しました。待機児童では、福岡市が26年度当初に待機児童をゼロにする方針を打ち出す一方で、東区の待機児童数143人(25年4月1日現在)に対して本年度の保育所整備数が50人分(9月1日現在)しかないなど、各区で数字が合わないことを指摘。待機中の子どもに、通いようもない遠方の保育園を薦めて、見かけ上の待機児童数をゼロにするような乱暴な取り組みにならないよう釘を刺しました。中央保育園については、監査委員会が移転用地の取得に至る過程に「疑念がある」旨の報告をしたことを受け、当局を追及。市幹部の会議で現移転用地と比較された候補地②の価格が実際の3倍(平米あたり122万円)とする説明があったことを問題視し、市長に再検証を求めましたが、明確な答弁をしませんでした。

社会的な孤立者の実態把握を急げ

一般質問[9月18日]

阿部 正剛 (東区)

①社会的孤立者支援②グローバルチャレンジ イン釜山事業③西部地域における小児2次医療対策について質問しました。

社会的孤立者支援については、福岡市内で年間に300人あまりの孤立死事案が発生している一方で、災害時要援護者台帳への登録を拒否している単身高齢世帯などが2400世帯に上ることを指摘。これらの「地域との関わりを避けたり拒んだりする人」が社会的に孤立しているのではないかとして、実態の把握と支援充実を求めました。また、グローバルチャレンジ イン釜山事業については、釜山市の英語研修施設における10日間の学習プログラムに参加できる生徒の人数が全市で100人であり、選考に漏れた生徒がやる気をなくさない工夫や公平性を担保することが必要と指摘。当局は意欲ある生徒がより多く参加できる受け皿作りの必要があるとの認識を示しました。

地場業者が参入しやすい入札制度に

一般質問[9月18日]

田中 丈太郎 (博多区)

総合評価方式について質問しました。総合評価方式については、これまでも会派として社会・地域貢献や新卒者・高齢者の採用に取り組む地場企業へのインセンティブが働く制度とすることや、同種の公共工事を過去に受注したか否かで評価に大きな差がつく現行の基準を見直すことなどを求めてきました。

質問では「企業の施工能力」「技術者の能力」の評価項目が実際には受注実績が中心となっていること、福岡市に本店を置いている期間が2年未満である企業と、福岡市に本店がない企業とが同じ配点で扱われていることなどの問題点を指摘。地場企業にとってより良い入札制度となるよう見直しを求め、当局は「実施効果や業界団体などからの意見も踏まえ、公共工事の品質確保と地域発展の両面から、受注者、発注者のお互いに良い制度となるよう取り組んでいく」と答弁しました。

中央保育園問題で市長を追及!

総会質疑[10月7日]

太田 英二 (城南区)

①浸水被害から学ぶ「地域ハザードマップ」の重要性②中央保育園移転事業について質問しました。ハザードマップについては、福岡市が現在、「浸水ハザードマップ」「揺れやすさマップ」など7種類を配布しており、新たに津波・土砂災害のハザードマップ作成が検討されていることを明らかにした上で、様々な情報を一元化し、災害時の避難先などと併せて分かりやすく明記した校区単位の地域ハザードマップとして再構築することを提案しました。また中央保育園問題では、現在の移転用地を検討している段階で隣接する空き地にパチンコ店が出店することについて警察から3回に渡って情報提供を受けながら、当局が何らの再検証を行わなかったことなどを厳しく指弾。移転用地の取得に絡んで高島市長が市民から背任の罪で刑事告訴された問題についても市長を追及しました。

外部委託の議論に丁寧さを求める

総会質疑[10月8日]

栃木 義博 (早良区)

①ILC誘致の今後②市立図書館のあるべき姿③学校給食センターの再編整備と公社職員の雇用問題について質問しました。ILC誘致については、国内候補地に関する文部科学大臣の発言が「北上山地だけでなく脊振山地も含めて再検討する方針」と報じられたことを受け改めて市の取り組みを問い、市長は「引き続き情報収集に努めるとともに県などと歩調を合わせて取り組む」と答弁しました。市立図書館については、行財政改革プランで図書館の開館時間延長のために外部に運営委託する検討が進んでいることに対して、現行の直営体制で対応できないという十分な検証がなかったことを指摘しました。学校給食センター公社職員の雇用問題については、運営事業者に対して公社職員の適正受入のほか、業者選定にあたっては年休・育休など職場環境の整備を図る企業の選定を求めました。

若者の政治参加を促進するために

総会質疑[10月8日]

田中 しんすけ (中央区)

若者の政治参加を促進するために、シティズンシップ(市民性)を育むという視点から教育行政に関して質問を展開しました。児童会・生徒会活動の活性化について、および社会科で教える「政治」の授業の在り方について、それぞれ「まずは学校現場における取り組みや実績を把握し、その中でも優れた取り組みを共有する仕組みを整えるべき」と訴えました。教育長は、「児童会・生徒会活動の活性化に向けて、各学校の代表者児童生徒が全市や区単位で意見交換を行ない、それぞれの学校で具体的な取り組みにつなげることができるような場を教育委員会が主体となって設定していく」、「政治の授業(テーマ授業)については、優れた実践について情報を収集したり、共有したりする機会の充実を図るなど、より良い授業の在り方を学ぶような支援を行なう」と前向きな答弁を示しました。

正規雇用を増やす施策の展開を!

総会質疑[10月21日]

三原 修 (南区)

①就労支援②企業立地③創業支援について質問しました。就労支援については、最近の雇用情勢の回復が、パートタイム労働などの増加によることを指摘し、非正規雇用の若者の正社員化支援や45歳以上の中高年への就労支援を進めるなど、安定した職に就ける取り組みを求めました。企業立地については、平成24年度の立地交付金の拡充などにより、市内に75社が進出し、7,300人の雇用が創出されたことを明らかにした上で、立地交付金の対象となりにくい「クリエイティブ産業」は少人数で進出した後に従業員数を増やしている傾向を指摘。クリエイティブ産業が対象となるような立地交付金の在り方の検討などを求めました。創業支援については、昨今、当局が国への特区申請など意欲を示していることを評価。当局は「日本を代表するスタートアップ都市となるため取り組みを進める」と応じました。


決算特別委員会(10月3日~10月22日)の期間中にあたる10月16日(水)の午前中に市内のホテルにある会員制フィットネスクラブtakashima.JPGで汗を流していたことを一部メディアから指摘されていた問題で、高島市長は10月21日(月)の決算特別委員会の運営理事会で釈明を行いました。この中で高島市長は一部メディアに指摘された事実関係を認めた上で、「日頃から体力維持のために体を動かす機会を作っている。当日は特段の公務がなく、議会にも対応できるように、ホテルのジムで汗を流した。今回の件がこのような形で議会に取り上げられることは本意ではない。誤解を招くことが無いよう、気をつけて参りたい。」と説明しました。

市長は地方公務員の常勤特別職であり、勤務時間には定めがないため市役所の業務時間内にフィットネスクラブに通うこと自体に法的な問題はありません。しかし、同時間帯は市役所で平成24年度の決算について、議員と当局者が真剣に分科会審議を行なっている最中であり、高島市長の行動には政治的、道義的に問題があると言えます。高島市長はこれまで、職員による飲酒運転事件など度重なる不祥事を受けての綱紀粛正として、「禁酒令」を科すなど厳しい姿勢で職員の節制を求めてきていますが、自身の行動には自覚を欠いているとの批判を免れません。

江藤博美委員長はこの運営理事会の席上で高島市長に対し、「誤解を招く行動は慎むように」との苦言を呈しました。

なお、この問題の取扱いを巡っては、公式の場における高島市長の説明を求める声が市議会の複数の会派から上がったことから事前の協議が紛糾し、当初は午前10時の予定だった総会質疑の開会が大幅に遅れ、議論が深夜にまで及ぶこととなりました。